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がちゃがちゃ どんどん
図書館で定期的に開催している「えほんとわらべうたの会」での出来事です。
絵本「がちゃがちゃ どんどん」の表紙を見た途端、それまで元気に会場内を走り回っていた2歳くらいの男の子がお母さんのそばに座り、復唱を始めたのです。 読み手が「がちゃがちゃ」と言うと、男の子が「がちゃがちゃ」、読み手が「どんどん」と言うと、男の子が「どんどん」といった具合です。
ページが進んでも読み手と男の子は同じペースを保ち、結局1冊を2人で交互に読んだ格好となりました。周囲のお母さんたちも、「文字を覚える前なのに、どうしてあんなに上手に読めるの?」と、男の子の達者な復唱に驚きを隠しきれない様子でした。
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既に文字を認識している大人にとって、絵本は「文章を読む」「絵を楽しむ」ものですが、小さな子は大人と異なる「感覚」の部分で絵本と接しているのかもしれない、と考えさせられました。
「がちゃがちゃ どんどん」では、「かーん」「ぽんぽん」「ぐにゃぐにゃ」「さらさら」等々の擬音語が次々に展開され、その擬音語をイメージさせる色彩豊かな絵がページいっぱいに広がっています。お母さんに繰り返し読んでもらううちに、男の子の中では、お母さんの声と擬音語の持つリズムの面白さ、インパクトのある絵がしっかりと結びつき、文字を読めなくても「絵本を楽しむ」ことができるようになったのではないでしょうか。
もしかしたら、絵本の楽しみ方は小さな子それぞれで、千差万別なのかもしれません。遅かれ早かれ、全ての子に自分の楽しみ方をつかめる瞬間が訪れると思います。お子さんが絵本にふれる機会や環境を整えてくださっている保護者の皆様には、その瞬間に立ち会える喜びが、きっと待っていますよ!
文/浜松市立中央図書館 伊藤恵子さん