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おさじさん
おさじさんは、おいしいものを探してやってきます。いいにおいのもとにたどりつくと、そこにはおかゆを食べるうさぎのぼうやがいました。おさじさんは「おてつだいしてあげる」と話しかけますが、「ひとりでたべるよ」と言われてしまいます。あつあつのおかゆに鼻をつっこんだうさぎのぼうやを、心配そうに見守るおさじさん。ぼうやは、鼻をやけどして泣いてしまいました。「ないてはだめよ」と微笑みながら、おさじさんがもう一度「おてつだいいたしましょう」と声をかけると、ぼうやはおさじさんをしっかり手でもって、おかゆを「ふう ふう ふう」と冷ましてから、おくちへはこびます。上手におかゆを食べることができたうさぎのぼうやは、「おさじさんだいすき」とほおに手をあててにっこりします。
童心社
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優しい雰囲気の絵と、リズムよく読める文がとても心地いい絵本です。おさじさんがいいにおいのところへ向かうときの「とことことこ」や、うさぎさんがやけどしたときの「くわんくわん」「えーんえーん」、おかゆを口へ運ぶときにおさじさんを汽車に見立てた「ポッポ―」という表現など、赤ちゃんの耳に残りやすいフレーズがいくつか出てきます。図書館のおはなし会で読んだときには、「ポッポ―」のところでじっとこちらを見つめてくれた赤ちゃんがいました。赤ちゃんの反応も楽しみになる絵本だと思います。
最初は「いらないの」と言われてしまったおさじさんが、最後の場面では、おかゆを口に運ぶおてつだいができてとても嬉しそうです。やけどをして泣いてしまったうさぎのぼうやも、おさじさんのおかげでおいしいおかゆを食べることができて笑顔になります。読み手も子どもも、最後は安心して、ほっこりと幸せな気持ちになれる絵本です。
文/浜松市立中央図書館 坪井仁美さん