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「いのちてんでんこ」とは
2011年3月11日に発生した東日本大震災から12年が経過しました。
先日開催した講座「釜石の教訓を静岡に」では、津波被害の大きかった岩手県釜石市鵜住居地区にある釜石東中学校の生徒と教諭だったお二人に登壇いただきました。そのテーマのひとつだった「いのちてんでんこ」という言葉をご存知でしょうか。
いのちてんでんこ(または、津波てんでんこ)とは、時代をこえて三陸地方に受け継がれてきた言葉で、「地震がきたら津波が来る。他のひとにかまわず、てんでばらばらに逃げろ」というメッセージです。3.11以降、メディアにも取り上げられ全国的に聞くようになりました。
「自分だけ逃げるわけには」「薄情だ」と言われることもあるこの言葉ですが、これは「われ先に逃げる」という意味ではないそうです。
- 必死に逃げる人の姿を見て、周囲の人が避難するという連鎖が起こる。
- 自分の命を守ることで、その先救える命がある。
など、自分自身が避難することの重要性を含んでいます。釜石東中学校の先生と生徒たちは、避難訓練とは違った状況の中、一瞬の判断でより高いところへ逃げる選択をしたそうです。
釜石鵜住居復興スタジアム祈念碑
「“いつか来る”とは思っていた。でも“今日”だとは思わなかった」「避難の際は1秒でも無駄にできない」、これは津波避難を経験した登壇者が講座で伝えた言葉です。
津波避難の際は、家族それぞれが逃げていると信じて、自分の命を最優先に避難する。改めて家族で「いのちてんでんこ」について、話し合ってみてください。子どもに避難の大切さを伝えるために、関連の絵本を読んであげるのもいいかもしれません。
文/浜松市防災学習センター スタッフ 森口