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写真で伝えるメッセージ 助産師たちのつぶやき
「あなたがいてくれて、ママもパパも幸せだよ。」
菜の花や河津桜が咲き始め、春の訪れを感じる季節となってきました。みなさま、いかがお過ごしですか?私は写真が大好きで、今までにたくさんの写真を撮影してきました。子どもが産まれてからは大好きだった気ままな一人旅へ行けなくなってしまいましたが、シャッターチャンスがあればいつでも写真が撮れるようにと4歳の子どもと出かける時にはいつもカメラを持ち歩いています。
今回は、写真好きな私がオススメする、写真で伝える子どもの自己肯定感を高める方法についてお話をします。
ほめ写という言葉をご存知ですか?ほめ写とは、子どもの写真を家の中に飾り、それを見ながら褒めることで自己肯定感を高めようという、新しい子育て習慣のことです。ほめることで向上する自己肯定感。それを効果的に実施する方法が、写真でほめる「ほめ写」です。
「自己肯定感」とは、自分のいいところも悪いところも含めて、「自分はありのままでいいんだ!」と認められる感情のことです。自分自身に満足をしていて、自分のことを肯定的に思える感覚のことをいいます。自己肯定感が高い人は、ポジティブに物事に挑戦することができ、失敗してもめげずに試行錯誤しながら解決に向かっていくことができます。また、自分や周りの人のことを尊重できるため、コミュニケーション能力が高く、ほかの人とよい関係を築くことができるようになります。つまり子どもがしあわせに人生を生きていくためにとても大切な力と言えます。
わが家のリビングには、子どもが産まれた直後の家族写真、ニューボーンフォト、ハーフバースデー、1歳、2歳、4歳のバースデーフォト、七五三の家族写真、旅行へ行った時のスナップ写真や運動会でダンスをしている写真、他にも日常の中でいいなと思った写真をたくさん飾っています。
七五三の家族写真は子どもが気に入って選びました。「どうしてこの写真がいいと思ったの?」と理由を聞くと「みんなが笑ってるから、これがいい。」と答えました。子どもに対して叱ってしまうことが多いですが、いつも笑っていて欲しいと思っているんだなという気持ちが読み取れました。何かを決める時に、子どもに選択をさせたり、意見を求めると自分で考える力もつき、「自は親に頼りにされている」という嬉しさや承認欲求も満たされるそうなので、子育ての中で意識をしています。
もう一つのお気に入り写真は、運動会の時に仲良しのお友だちと一緒にダンスをしている写真です。写真を見ながら子どもは「○○ちゃんと仲良しでいつも一緒に遊んでいるんだよ。」「今日は保育園で○○ちゃんとお砂遊びしたの。」などとたくさんお話をしてくれます。忙しい時や余裕がない時もありますが、なるべく子どもの話をしっかり聞き、気持ちに寄り添うよう努めています。写真を見ながら「仲良しの○○ちゃんと一緒で嬉しいね」「ダンス上手だったね」「保育園でたくさん練習したんだね」。と子どもの努力を褒めるようにしました。運動会やお遊戯会などで頑張っている写真は、努力や達成をほめるのに向いており、何かを成し遂げたときの写真は、努力の過程も相まって強く記憶に残るそうです。
一番お気に入りの写真は、子どもが産まれた直後の家族写真で、お産を取り上げてくれた友人助産師が撮影してくれた写真です。分娩所要時間18時間越え、子宮口が全開大してから6時間いきみ続け、すっぴんで髪はボサボサ、疲労困憊でとても人様には見せられる写真ではありません。てもお産をがんばった自分、仕事終わりに一睡もせずに駆けつけてくれた夫、頑張って産まれてきたわが子、3人で出産を乗り越えた後の貴重な一枚なので、お気に入りで子どもが産まれてからずっとリビングに飾ってあります。子どもがその写真を見るといつも「ママお腹痛かったけどがんばったね、○○もがんばって産まれてきたんだよね。」と言います。「そうだよ、○○が産まれた時ママはずっと長い時間お腹が痛かったけど頑張ったんだよ、パパも一緒にいてくれて頑張れーって応援してくれたんだよ、元気に産まれてきてくれてありがとうね。」と伝えています。これからも子どもの存在をありのまま丸ごと認めてあげ、「そのままの存在が大切」「いてくれるだけで嬉しい♡」というメッセージをどんどん伝えていけたらと思っています。
ほめ写のプロジェクトというのがあり、そこでは2種類の「ほめ」を推奨しています。まずひとつ目は、子どもの努力や達成したことに対してほめる「条件つきのほめ」。がんばったこと(過程)やできたこと(達成)をしっかりほめてあげる方法です。もうひとつは、子どもの存在そのものを肯定し、ほめること。言わば「無条件のほめ」です。「あなたがいてくれて、ママもパパも幸せよ」と伝えることで、子どもは愛されていることを実感し、自己肯定感を高めることができます。
子どもの自己肯定感を上げることも大切ですが、親自身の自己肯定感を上げることも大事だと思っています。子どもの失敗を大きな心で受け止めてあげたり、些細なことでも共感をしてあげたり…それは分かっているんです! ただ、忙しかったり、疲れていたり、なかなかできない時もあります。そんな時は子どもが寝た後でゆっくりお茶を飲んだり、おいしいスイーツを食べたり、友人と会って食事に出かけたり、一人で買い物へ出かけるようにしています。リビングに飾ってある写真を見ていると、赤ちゃんの頃はただただ小さくてかわいかったな、、、。もう4歳、大きくなったな、子育て頑張ってるよね、、、。旅行楽しかったな、、、。など、楽しかった思い出や日々頑張っている自分を認めることができ、写真を飾ることで子どもの自己肯定感だけではなく、自分自身の自己肯定感を上げることにも繋がりました。
「ほめ写プロジェクト」が行った調査では、写真を飾っている家庭の子の方が、飾っていない家庭の子にくらべ、自己肯定感が高いという結果が出ています。写真をお子さまの目に入るところに飾っておくと、写真を見る度にほめられたことを思い出し、自己肯定感を高めるのに役立ちます。みなさんもお気に入りの写真、子どもが頑張っている写真をお子様と一緒に見つけてみてください。
文/浜松医療センター 助産師 八木あずさ