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『16歳の語り部』

この本の案内役である佐藤敏郎氏は、
「大人でさえ言葉を失い、立ちすくんでしまった“あの日”の光景を、当時子どもだった彼らはどう受け止めたのか。私たちは知らないでいたのだ。」
と言っています。

16歳の語り部
16歳の語り部
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震災後には、子どもたちにさらに辛い思いをさせないためにと大人が配慮したことが、かえって子どもの心を追い詰めてしまうこともあったようです。子どもは大人が守らなければならないからと、大人の視点で配慮するだけではなく、ある程度の年代の子どもには、子どもなりの考えに大人は耳を貸し、子どもたちの気持ちを受け止めることも必要だったのかもしれません。
震災は、突然やってきて、想定外のことを引き起こします。それに対して、最善と思われる対応をしているはずでも、後から考えれば、対応が間違っていたということもあります。
語り継いでいく意味は、そういうことも伝えることで、次はもっと良い対応ができるようにすることを考えられるようにするところにあるのかもしれません。

東日本大震災の日、まだ小学5年生だった3人の著者が、“あの日”、子どもたちの目にはあの震災の光景がどのように映っていたのか。3人の子どもたちは5年経って16歳となり、被災した経験から、何を伝えようとしているのか。子どもたちはひとりの被災者として、子どもたちなりの視点とことばで私たちに伝えてくれます。その中には、思い出すのが辛いのではないかということも含めて、細かく語られています。そこには、語り部として伝えようとしている使命感を感じます。
語り部の一人である雁部さんは、
「一日ひとつ、何でもいいから思い出をつくってほしい」
と言っています。いつもの当たり前の生活は、当たり前ではなく、震災が起これば突然、そのあたり前を失ってしまうという経験からの言葉です。
毎日、当たり前のようにある生活を、当たり前のように過ごすことのありがたさを再確認するとともに、若き語り部の言葉の重みをズシリと心に感じました。

(わかば)

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