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3.11から7年 いま、私たちが被災したら?(3)

<3>女性・子育て家庭のための支援物資

東日本大震災の時と比べて、熊本地震の時は支援物資を送る動き自体は早かったようです。しかし、それが被災した人の手に渡るまでには、また別の困難がありました。各地で被災地支援活動を行うNPOの方々から集めた情報をもとに、東日本大震災の場合と熊本地震の場合を比較しつつ、今後どのように対策していけば良いのかを考えます。

熊本に「つながる支援パック」を送る準備

東日本の場合:被害が大きく、数日支援物資が届かない地域も

支援物資は避難所に集まることが多かったが、オムツ、ミルクなどはサイズやメーカーが選べるほどには充分に集まりにくかったため、サイズが合わなくても我慢していたそうです。また、水などの最低限の物資についても、津波の被害が大きかった地域などは、数日届かない場所もありました。

また、津波で避難所も無くなり、寺や民家などに避難したままになった人もいて、支援物資が届かなかった所もありました。

よく聞かれたのが、当初は支援物資の受け入れ側に女性や子育て家庭特有のニーズに配慮する視点が無かったということ。なぜなら、避難所のニーズを調査し、物資を配布する業務自体を男性が担っていたからです。徐々に行政の女性職員や女性団体が声をあげはじめ、女性職員が現場に派遣されるようになり、ニーズに配慮される所も出てきました。

熊本の場合:物資は集まっても、必要な人に届くまで時間がかかった

支援物資は発災翌日から続々と届きましたが、その支援物資を届けるトラックなどの車が(個人レベルの支援者も含めて)非常に多く、交通渋滞が慢性化していました。物流センターなどの物資拠点では、受け取りや整理が間に合わず、混乱状態が続きました。その結果、物資拠点まで物資は届いても、直接渡せる拠点までうまく物が流れず、被災者の手元までなかなか届かない、という問題が起こりました。

1~2週間ほど経つと、物資拠点からネットで要望を伝え、それに応える形で支援がされるようになりましたが、すべての拠点で機能していたわけではありませんでした。「支援物資を的確に仕分けることができる専門家がいてくれれば良かった」という声が聞かれました。

基本は「自分で物資を備えておく」。持ち出し品と備蓄品に分けて備えを

上の事例のように、支援物資が来ることをあてにすると、物資が届かず大変な思いをすることが予想できます。

また、乳幼児を抱えた世帯にとっては、ミルクを受け取るのに長時間並び、また哺乳瓶を受け取るのに長時間並ぶ…という風に行列を繰り返すのは大変なことですが、被災地支援NPOによれば、現状では、乳幼児・妊婦に限らず配慮が必要な人であっても、物資を貰うには並ばざるを得ないとのことです。

では、どう備えればいいのでしょうか? 水・食料や、子育てに必要な物資、女性用品などは、ある程度は自分の家庭に必要なものを自分で備えておくことが必要です。目安は1週間分と言われていますが、復旧が長引けばそれだけ備蓄品も必要になります。

さて、試しに、家族の人数分の備蓄品を1週間分買って並べてみると、「こんなにたくさん持ち歩けない」と思うことでしょう。備蓄品は「最初に避難所に持ち出す最低限必要な品」と「ライフラインや物流が復活するまでの間をしのぐ品」に分けて考えましょう。前者はリュックに入れておき、後者はストックできる場所にまとめて置いておきます(自宅に戻れるようになったらそれらを使えますが、戻れない状態であれば家から少しずつ持ち出して使うことになるかもしれません)。

乳幼児のいる家庭では、大人の持ち出し品に加えて、乳幼児用の持ち出し品をまとめておきましょう。持ち出し品リストの参考はこちらをご覧ください。ですが、これはあくまで一例です。子どもの成長は早いので、自分の子ども、自分の家庭では何が必要かを考え、持ち出し品を定期的に「“今”必要なもの」と入れ替えてください。

子育て世代自身が声を上げ、防災に関わろう

そのように自分で最大限備えていても、災害の規模が予想を超えるものになり、支援を受ける立場になることがあるかもしれません。特に南海トラフ地震は被害が想定される地域が広大なため、支援が届くまでの日数が長引くことが予想されます。もし、子どものミルクが1週間以上も手に入らなかったら…。想像すると恐ろしいですね。

対策のひとつの方法として、ぴっぴが考案した「つながる支援パック」を紹介します。これは、「乳幼児が必要な物資をひとまとめにすれば、避難所等で支援物資を渡す側も、受け取る側も負担が少なくなるのでは?」との考えから、乳幼児の子どもがいる家庭に必要な支援物資をまとめたセットを配布する仕組みです。平成28年に起きた熊本地震では、大きな被害のあった熊本県上益城郡嘉島町に「つながる支援パック」100セット(乳幼児家庭用、アレルギーの子どもがいる家庭用各50セット)を届けました。

ぴっぴは引き続き、災害時に子育て家庭に「つながる支援パック」を届けるための事業をすすめています。この活動が全国に広がれば、次の災害が起きた時に「被害の無かった地域から、被害のあった地域への支援」ができるようになるでしょう。興味を持たれた方はこちらをご覧ください。

「女性の視点」「男性の視点」と必要以上に切り分けて考えることはありませんが、生活の中で子育てをしていない場合、子育てに必要な物資が何かがわからないのは無理のないことでしょう。だからこそ、「子どもを守るためにはこんな備えが必要」ということを子育て世代自身が声を上げていくことはとても大切なことです。

<取材協力団体(順不同)>

震災がつなぐ全国ネットワーク、NPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク、日本財団、認定NPO法人レスキューストックヤード

※ぴっぴは子育て支援団体なので、女性、乳幼児家庭を中心とした内容について掲載しています。

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