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小児のアレルギー疾患

アレルギー.jpgこんにちは。浜松医科大学小児科の福家と申します。
今年も早いものでもう12月ですね。
来年度に小学校新1年生を迎えるお子さんにとっては就学時健康診断が終了する時期ですが、アレルギー用学校生活管理指導表が運用されて以来、この時期の小児科外来には食物アレルギーについてのご相談が増えました。
今日は食物アレルギーに関してお話したいと思います。

就学時健診は法令で定められたもので、入学までに健康面の準備を進めるために実施しますが、平成22年度からこの健康診断票にはアレルギー疾患に関する項目が設けられています。食物アレルギーがあるために学校生活での配慮(除去食・代替食なと)を希望される場合、保護者記入欄に食物アレルギーが有ると記入すれば、学校側から医療機関を受診し学校生活に関する診断・指示を受けるように勧められ、医療機関より「アレルギー疾患用・学校生活管理指導表」に記載してもらうことが出来ます。
学校関係者がアレルギー疾患を有する児童に対して取り組むためには、児の症状や特徴を把握しておく必要がありますが、その初めの一歩として学校生活管理指導表を用いて情報を把握し、その後の対応に生かすということです。
なお管理指導表は、原則として園・学校において配慮や管理が必要と思われる場合に使用されるものであり、園・学校生活上、管理を特に要しない場合は対象外となります。

なぜ最近になって、アレルギー疾患用の指導表が運用される様になったのでしょうか。
除去食を希望する児童数が増えたことは大きな一因ですが、食物アレルギーが臨床的な学問として成熟してきたことも挙げられるでしょう。
厚生労働科学研究班「食物アレルギー診療の手引き2011」によると、食物アレルギーの治療は「正しい診断に基づいた必要最低限の食物除去」が原則です。この原則は一見当たり前の様に思われますが、実践するためにはたくさんのきめ細かい診断技術と指導が必要です。
食物アレルギーの子どもが原因食物を除去するのは、食べると症状が出て危険だから、という理由によります。
しかし、知らずに食べていても症状が出ない物は、血液検査などがいくら陽性であっても避ける必要はありません。ところが実際には、食物アレルギーを持つ子どもの多くが必要以上の除去療法を行っています。
アレルギー症状を経験したことのある食物だけでなく、そばや甲殻類など、一般的に強いアレルギー症状を起こすと思われている食物や、血液検査でIgE抗体が陽性であった食物については、「怖いから」「念のため」避けているということがしばしばあります。
また、アレルギー症状を起こす食品でも、症状の出ない量が必ず存在します。
さらに食物特異的経口免疫療法の効果が報告される中で、何ら症状を起こさない量を食べ続けることは耐性誘導を早める事がわかってきました。そのため現在の食物アレルギーの専門診療においては、除去食の知識や緊急時対応の指導は勿論のこと、症状が出る摂取量(閾値)を正確に診断した上で、食べ物に含まれるアレルゲン量に関する詳しい情報を伝えることが求められます。

食物アレルギーの多くは成長とともに治っていき、食べられる様になります。
特に就学前のこの時期は、過去に診断が確定して除去している食品でも耐性獲得できている可能性があり、したがって食物負荷試験を積極的に行い再評価することが重要です。
平成20年5月に全国の学校へ配布された、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」(文科省監修、(財)日本学校保健会発行)においても、「食物アレルギーに精通した医療機関における食物負荷試験の結果などに基づいて適切な診断を受けることが奨められる」とあります。
そうすることで不必要な除去食対応を減らし、本人の学校生活のみならず学校側への負担も軽減することが期待できます。
この食物負荷試験を行っている施設については、インターネットで検索することが出来ます。
勿論、掲載されていない施設でも行っている場合がありますので、担当の先生にぜひご相談下さい。(食物アレルギー研究会 http://foodallergy.jp/)

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