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うちの子らしさを大切にする子育て(10)~わが子の成長と親の役割~

先日、ある集まりで10年ぶりに卒園したママに会いました。
幼児期に学園を利用し、学校に行っても仲間とのサークル活動を継続していて、学園のクリスマスイベントにはハンドベルの演奏などを披露して親子で関わり続けてくださっていたママでした。10年以上前のその時を思い出すには、キーワードとなるエピソードを共有できると、タイムスリップして「そうそうあの時やってくれたよね~」に変わります。そして思い出話から始まり、その後の話にもつながっていきました。

お子さんは「アスペルガー」と言われ、幼児期から子育てを仲間と共に試行錯誤されていたママで、学校時代もお友達との付き合いを心配しながら子育てし、この春大学を卒業し、社会人1年生になったと報告してくださいました。
「本人は自分の好きなことだけ第一」なので、家族は、就職できるかなあと随分心配されたようです。何十社と採用試験を受け、それをドキドキしながら見守り、決めたのは「接客が必要なスーパー」。家族としてはとても無理と判断し、何日も話し合いを重ねたと話してくれました。本人は、いろいろな採用試験を受け続け、そして“ここに行く”と決め、一歩も譲らなかったことに親としても「そこまで言うのであればもうやらせてみるしかないと覚悟した。親が想定したのとは真逆」と話してくれました。そして、今、休まず出勤していることにおどろいているとも話してくださいました。

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さらに、職場の先輩に「もう少し、周りのみんなのことを考えられるようになるといいよと言われたよ」「どうすればいいかなあ」と助言を受けたことを報告してくれたことも驚いたと話されました。ママからしてみると、本人の特性は人と関わることが苦手な所を持っていて、それを求められる現場は相当ハードルが高いと思っている。人のことはあまりお構いなしのわが子が、先輩との関係性を作りながら、相手から言われたことを自分事として考えようとする姿に“こんなことできるようになるんだ”と、こどもの限界を決めていた自分に気づかされたと話してくださいました。「これから先どうなるかはわからないけれど、わが子の別な面、成長している姿を感じている」ママの話でした。

子育ては何歳まで?の答えも多様だとは思いますが、親の役割もどこかでステージを変えていくことが必要なのかもしれません。親として関われる部分は子どもの成長と共にかわり、本人自身が周りの人や体験の中で積み重ねる「子ども自身が変わっていく・変化し・育っていく」スタイルとなる。親は、見守り、相談相手となっていく。

10年ぶりのママとの再会は、長いスパンでの子育ての中に、立ち話では聞きつくせない多くの工夫や葛藤・試行錯誤があったことが想像されます。そして、今子育てしているママたちにとっても参考になるヒントや工夫が“経験したかららこそ語れる子育て”の中にあると思います。先輩ママの力も大きな応援団ですね。

「わが子らしさを大切にする」その技・工夫・考え方が、支援者×今子育てしている世代×多様な子育てした世代と、混ぜこぜになりながら、共有される場の大切さを強く感じています。
そんな場を、誰一人取り残すことなく、必要な時に活用できる、切れ目なくつながっていける形に向けて、これからも進んでいきたいと思います。

今後ともよろしくお願いします。
 

 

文/浜松市児童発達支援センター根洗学園 園長 松本知子先生

 

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