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陣痛中の過ごし方 助産師たちのつぶやき
酷暑と言われた今年の夏も、9月に入り秋を感じるような日も出てきましたね。にぎやかな蝉の声から、涼やかな秋虫の声に変わってきました。夕方から夜にかけて、お散歩がしやすくなってきているので、出産が近い方は体力づくりに励んでほしいなと思います。
さて、何をつぶやこうかなと思い、最近のお産を振り返りました。今回は、陣痛アプリについてのお話しをしてみようと思います。
お産が始まったかなと思った時に病院に連絡していただくタイミングは、経産婦さん、初産婦さん、家から病院までの距離など人によって様々ですが、ひとりひとりに合わせて「陣痛間隔が〇分くらいになったら」とお伝えしています。みなさん自宅で陣痛の間隔を図って連絡して下さいますし、その自宅の状況をもとに来院していただいています。
来院されてから、お腹の痛みはどれくらいの間隔ですか?と尋ねると、スマホを取り出して陣痛アプリを見せて下さる方がたくさんいます。時間をみると、前日の夜からずっと測り続けている方がいたり、入院してからも夜の暗い中でスマホを片手に黙々とアプリを使い続けている方がいたりします。そういう方々にはいつも、「スマホはしまって、目をつむってゆっくりと休んで下さい」と声をかけさせていただいています。数分毎にスマホを触っていては休息が取れずに疲労が溜まってしまいますし、更にブルーライトは覚醒を促してしまいます。陣痛に必要なオキシトシンというホルモンも、暗く落ち着いた中での方が分泌されやすいのです。
陣痛アプリは陣痛間隔を把握するのにはとても便利ですが、陣痛促進には大敵だと思っています。〇分〇秒〇とまで細かく測る必要はありません。だいたい何分くらいかな、さっきよりも短いかな、長いかな、痛みが強くなってきたな、痛む場所が変わってきたな、くらいでいいのです。スマホとにらめっこしているよりも、ゆったりとした中で、お腹の赤ちゃんと陣痛を感じながら過ごしていただきたいと思います。
陣痛が始まってからも、休息がとれる時はしっかりとる、動けるときはたくさん動く、エネルギー不足にならないようにしっかり食べる、ということを意識して、自分の身体と赤ちゃんが最後までお産をやりきれるように、前向きな気持ちで過ごしてください。
お母さんと赤ちゃんがそんなふうに過ごせるように、私たちは全力でサポートしていきたいと思っています。陣痛が来ましたという連絡を病院で楽しみに待っています。
文/浜松医療センター 助産師 中川聡子