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きゅっきゅっきゅっ
1歳のお誕生日が過ぎ、おっぱいやミルクだけの赤ちゃん期から離乳食も食べられるようになった幼児期はじめの子どもたちにぴったりな絵本です。
福音館書店
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スープのお皿を前に、子どもとねずみさん、うさぎさん、くまさんが前かけをしてすわっています。みんなで「いただきまーす」とスープを飲みはじめますが、ねずみさんがスープをおなかにこぼしました。それを見た子どもが、いつもママが自分にしてくれるように「ふいてあげるね」といって「きゅっきゅっきゅっ」とふいてあげます。次にうさぎさん、くまさんもスープをこぼしましたが、子どもがせっせとふいてあげます。そして「あーおいしかった」とみんな食べ終わると、こんどは子どものお口のまわりにスープがぺたぺた!それを見たママが「きゅっきゅっきゅっ」とふいてくれて「はい ごちそうさま」。
毎日の生活の中で、子どもたちは大人のすることをよ~く見ています。そして同じように真似をして自分でやってみようとします。教えてもいないのによく覚えていて、ある時、大人がしたのと同じことをしている子どもの姿は、ほほえましいものです。特にママの行動やことばに敏感で、子どもが行動を真似したり同じ口調で話しているのを聞くと思わず苦笑いすることもありますが、子どもにとっては一番身近なお手本となる大人ということでしょう。
この絵本も、そんな子どもの心の成長をちゃんととらえてあたたかく描かれています。「あら、あら、こぼしちゃだめじゃない!」なんてお小言のことばではなく、「ふいてあげるね」「きゅっきゅっきゅっ」とリズムのあることばを楽しくくりかえし、まわりへの気づかいもできるようになった、子どものやさしい気持ちをあらわしています。最後の裏表紙の絵は、子どもがいっしょにスープをたべた仲間のぬいぐるみたちを抱いて、ニコニコ笑顔の満足そうな気持ちが伝わります。
文/子どもと絵本ネットワーク ルピナス 副代表 島田洋子さん