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ぼくまいごになったんだ
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くまたくんはある日、おかあさんといっしょにデパートへ行きます。デパートの中は素敵なものがいっぱい。画面からはパンやケーキや果物のおいしそうなにおいが漂ってきます。でもおかあさんはくまたくんの期待をよそに婦人服売り場へ直行。婦人服売り場なんてくまたくんにはちっとも素敵じゃありません。おかあさんが夢中で服を選んでいるあいだ、くまたくんはドレスのハンガーの列の間を走り回ったり、マネキンに触ったり、あげくのはては床にころがってダダをこねます。


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読んでもらっている子どもたちのなかには、思い当たる子もいるらしく、ちょっぴりきまり悪そうな表情を浮かべる子もいます。困ったおかあさんはくまたくんをおもちゃ売り場に連れていき、そこで待つように言います。(なんと大胆なおかあさん!) 乗り物のおもちゃで夢中で遊んでいたくまたくんがはっと気が付くと、おかあさんがいません! そう、くまたくんはまいごになってしまったのです。
ここから、くまたくんの、そして聞いている子どもたちにも、つらい展開が始まります。おかあさんを探し回って売り場を歩くくまたくん、泣きじゃくりながらデパートのおねえさんにだっこされるくまたくん、休憩室でおかあさんをひたすら待つくまたくん、どの場面からもくまたくんの心細くて悲しい気持ちが痛いほど伝わって、聞いているこどもたちも身につまされてしーんとなります。追い打ちをかけるのが警備員のチーターのおじさんのことばです。「おっ、かわいいまいごだな。おじさんちのこどもにしたいくらいかわいいなあ」店内放送にようやく気が付いたおかあさんが迎えに来て、一件落着となります。
くまたくんと一緒にこんなに切ない思いをしてもやっぱり子どもたちはこの絵本が大好きです。デパートにずらりと並ぶおいしそうなパンやケーキ、おもちゃ売り場で存分にあそぶ子どもたち、普段は入れない休憩所も子どもたちにとっては魅力みたいです。そして、くまたくんが迷子になってもしっかり抱きしめて離さなかったおもちゃのしょうぼうじどうしゃを、ちゃんと買ってもらえたことが絵からわかるのも、子どもたちに人気の理由なのでしょう。
どこの親子にもおこりそうな出来事ですよね。「子どもを置き去りにしてお買い物に夢中になるなんて、このおかあさんひどい!」と目くじらをたてずに、親子でほろ苦さと安堵を共有して楽しんでください。