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ちいさなねこ
子猫が主人公の幼児向け物語絵本です。読んであげれば、3歳くらいから楽しめます。
水色の表紙に大きく目を見開いた子猫が1ぴき、くるりとまわして裏表紙にはその子猫の後ろ姿が描かれています。表紙を見ただけで、この絵本は、この子猫のお話しだとすぐにわかります。余計なものは何もないシンプルな絵は、小さい子どもたちにとって、良い絵本の条件のひとつです。
ある日、子猫は、おかあさん猫が見ていない間に、大きな部屋の縁側から門をぬけて外に走り出しました。家の外に出てみたい冒険心いっぱいの子猫ですが、次々と困難に出くわします。人間の子どもにつかまったり、道路を走る自動車にひかれそうになったり、大きな犬にとおせんぼされたり。見開きいっぱいに大きな犬と子猫が向き合っている場面は、かなり迫力があります。子猫は、果敢にも大きな犬の鼻をひっかいて逃げ出し、木に飛び乗りてっぺんまで登りましたが、木の下で犬ががんばっているので降りられません。子猫の声を聞きつけたおかあさん猫は、子猫を捜しに出かけます。子猫が出くわした困難をなんなく通り抜け、子猫がいる木を見つけました。おかあさん猫は、目をつりあげて口を大きく開け、木の下の犬を「ふうっ!」「ちいっ!」と怒って追い払いました。そして、すぐに木にのぼって、子猫を口にくわえて家に連れて帰ります。
今まで緊張して聞いていた子どもたちは、最後のページでおかあさん猫のおっぱいを飲んでいる子猫の絵を見て、ホッと安心した表情を見せてくれます。助けに来てくれたおかあさん猫を見て、自分のおかあさんを重ねあわせているのですね。
この絵本は、1963年「こどものとも」という雑誌として発行されてから1967年に絵本として出版されました。そのために絵本に出てくる自動車は古い型ですが、50年(半世紀)以上たっても増刷されて、今も本屋さんで購入できる息の長い絵本です。わかりやすいシンプルな絵とその絵にぴったりあったお話が、多くの親子のみなさんに読まれている理由でしょう。
<ちょこっとアドバイス>
最近では、生活の身近なところで親猫が子猫をくわえて運ぶ姿を見ることがないので、おかあさん猫が子猫を口にくわえている絵を見て「こわい!」と感じる子もいるようです。そこで、「どうぶつのおかあさん」
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をあわせて読んであげると、いろいろな動物の子育てがわかって納得できるようですよ。
文/子どもと絵本ネットワーク ルピナス 副代表 島田洋子さん