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アンガスとあひる
アンガスという名前の、スコッチ・テリアの子犬が主人公の幼児向け物語絵本です。読んであげれば、4歳くらいから楽しめます。
以前、このブログで紹介した絵本「こすずめのぼうけん」と「ちいさなねこ」のこすずめや子猫は、まだお母さんのもとで暮らしている幼い子どもでしたが、この絵本のアンガスは、お母さんから離れ、飼い犬として人間と暮らしている子犬です。アンガスは、何でも知りたがりの好奇心旺盛な子犬です。何だろう?どうしてだろう?見てみたい!知りたい!という気持ちは、人間の子どもたちも同じですね。
アンガスは、庭のいけがきの向こうから聞こえてくるやかましい音、「ガー、ガー、ゲーック、ガー!」「ゲーック、ゲーック、ゲーック、ガー!」が気になってしかたありません。
ある日、外に飛び出て行けるチャンスがきました!家のドアが開けっぱなしで、首のかわひもも、握っている人もついていなかったのです。アンガスは、それっと、おもてに飛び出して、生垣をくぐりぬけ、向こう側に出ました。すると目の前に2羽の白いあひるがいて、こちらに向かってきました。アンガスより随分大きな体です。アンガスは、うなって吠えて追いかけ、あひるたちは大騒ぎで逃げます。でも、あひるたちは余裕で水飲み場の水を飲んでアンガスをじらします。そして最後、2羽のあひるたちは、からだを低くかがめて、首を長く伸ばし、「シーシーシーシーシーシーシュ!!!」といいながらアンガスのしっぽをつついたり、つばさをばたばたさせて追いかけました。アンガスは丸くなって、逃げて逃げて、生垣をくぐりぬけ、小道をかけあがって、家の中にかけこみ、ソファの下にもぐりこみ、じっと体を伏せました。絵本の最後、ソファとその下にいるアンガスの絵は、3ページともまったく同じなのですが、そこに書かれている言葉は、アンガスの気持ちをズバリ言い当てています。
「そして、とけいの きざむ、いち、」
「に、」
「さんぷんかん、なにごとも しりたいと おもいませんでした」
絵本はここで終わっていますが、3分たったら、アンガスは、またソファの下から出てきて、知りたがりの探検を始めるんだろうなと予測させますね。
わかりやすく、とても動きのある絵、その絵にぴったり的確なリズムのある言葉は、聞いている子どもたちを、ぐいっと引き付けてくれます。
文/子どもと絵本ネットワーク ルピナス 副代表 島田洋子さん