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かちかちやま
昔話って、同じタイトルでもたくさんの種類があって、どれを選んだらよいのか迷いますね? そこで、「かちかちやま」といったら、おすすめは、おざわとしお再話、赤羽末吉画のこの絵本です。
たぬきにばあさまが殺されたことを知ったうさぎは、「よし、わたしがきっとかたきをとってやる」とじいさまに約束します。そして約束通り、復讐をはたす、だれもが知っている有名な昔話です。
読むと10分近くかかる長いお話ですが、文章も展開もとてもいいリズムで繰り返されるので、就学前の子どもたちもちゃんと最後までついてきます。とりわけ、うさぎとたぬきの会話が繰り返される場面は子どもたちのお気に入りです。うさぎのせいで背中に大やけどをおったたぬきは、とうがらしやまでうさぎを見つけると詰め寄ります。
「おい、うさぎ、このあいだはよくもおれのせなかにやけどさせたな」
すると、うさぎは軽くいなします。
「たぬきどんよ、うさぎだってひといろじゃないんだぞ。かややまのうさぎはかややまのうさぎ、とうがらしやまのうさぎはとうがらしやまのうさぎ。そいつはおれじゃないさ」
うさぎの巧妙な言い逃れにまんまとのせられるたぬきに「クスッ」と忍び笑いがもれることもあります。
小さな子どもたちにもわかりやすい理由は、赤羽末吉の絵にもあります。日本の自然の美しさを背景に輪郭のはっきりした絵が、出来事をよく物語っています。
この絵本では、冒頭で、たぬきがばあさまを殺してばあ汁を作り、じいさまにたべさせます。その場面が残酷だと抵抗を感じる人もいるようですが、私は子どものころに感じていた違和感や不快感が解消されました。私が子どものころに読んだ「かちかちやま」は、たぬきがばあさまにけがをさせ、うさぎがその仕返しをするという設定でした。子ども心に、たかだかけがをさせられただけなのに、なぜうさぎはこんなにも執拗にたぬきに仕返しをするのか?うさぎに反感さえ抱きました。
けれどもこの伝承通りの再話で長年の違和感と不快感を払拭できました。じいさまにばあ汁をたべさせる・・・・こんなに残酷な仕打ちをされたら、やはりたぬきは徹底的に罰せられなければなりませんね。