TOPぴっぴのブログ子育てのヒント遊びや学び昔話に学ぶ子育ての知恵(9)~「かえるの聞きじまい」から学ぶ子育てへのメッセージ~

子連れでおでかけ

子育てのヒント

特集記事

お気に入り

昔話に学ぶ子育ての知恵(9)~「かえるの聞きじまい」から学ぶ子育てへのメッセージ~

昔話に学ぶ子育ての知恵

田んぼに水が引かれ、冬眠から目覚めたかえるたちが元気に合唱する季節となりました。今回は、そんなかえるが主人公の昔話をご紹介します。
「かえるの聞きじまい」というお話です。ご存知でしょうか?こんなお話です。

「かえるの聞きじまい」のお話

カエル

昔、あるところにかえるの親子がいました。子どものかえるは親の言うことをまったく聞かず、「山へ行け」と言えば川へ、「川へ行け」と言えば山へ行く、という具合でした。
あるとき、親がえるは重い病にかかり、いよいよ最期の時が近づきました。
「本当は山に埋めてほしい。でも、あの子のことだから、そう言えばきっと川に埋めるに違いない。だったら、あえて『川に埋めてくれ』と言おう…」そう思い、子がえるに「私が死んだら、川原に埋めておくれ」と言い残して息を引き取ります。
子がえるは、親の死を前に初めて後悔し、「今度こそ、母さんの言葉を大切にしよう」と思い、親の言いつけ通り、川原に埋葬しました。
ところが雨が降り、川の水かさが増すと、川原のお墓が流されそうになります。心配でたまらない子がえるは、「母さん、流されるな、げろ、げろ、げろ…」と鳴き続けました。
それ以来、かえるは雨が降りそうになると、親がえるのお墓が流されはしないかと心配して「げろ、げろ、げろ」鳴くのだそうです。

親がぐらつくと、子どもは安心できない

とても短い昔話ですが、日本各地に残されているようです。このお話をどのように受け止めたらよいでしょうか?

親がえるは、子がえるがいつもいつも自分の言った事とは逆の振る舞いばかりするので、山に埋めて欲しいけれどきっと川に埋めるだろうからと、本心とは違う「川に埋めてほしい」と伝えました。一方の子がえるは、親の最後の言葉だからこそ、初めて言いつけを守ったのです。親がえるは、「自分が死んだら山の上に埋めて欲しい」と正直に、率直にいえばよかったのですね。

親がえるは、子がえるのいつもの振る舞いに気持ちを引っ張られて、気を使いすぎたため、自分は望んでいない川原に埋めてくれと言ってしまいました。ここに親と子どもとの付き合い方についてのメッセージがあるように思います。この昔話は、「親が子どものいう事する事に、いちいちぐらつかない方が良い」というメッセージを伝えているように思います。
親がぐらつかずに率直に想いを伝えることで、子どもは初めてその言葉の重みを受け止められるのではないでしょうか。

物分かりが良すぎると、子どもが迷う

もちろん、子どもの気持ちを尊重する姿勢も大切です。けれども、何でも子どもの言いなりになることは、子どもの成長にとって本当に良いことなのでしょうか?
「ダメ」と言ったことを、子どもに押し切られて「まあ、いいか」と許してしまう・・・。それを繰り返すうちに、子どもは何が大事で、何が正しいのか分からなくなってしまいます。親の気持ちがグラグラしていると、子ども自身も自信を持てなくなり、不安になるのです。

親は子どもにとって「信頼できる道しるべ」

親子

子どもにとって、親が揺るがない存在であると、子どもは安心して成長できます。たとえば、「食事は座って食べる」「約束は守る」など、日々の基本的なルールを一貫して伝えることは、子どもの心の安定につながります。
こどもは反発しながらも、一方でそんな親の姿を内心では信頼し、尊敬していくのではないでしょうか?だからこそ、親がえるも「本当は山に埋めてほしい」と最後まで自分の想いを貫くべきだったと思うのです。

厳しさと優しさのバランスが大切

「親はぶれないことが大切」と言っても、ただ厳しく押しつければよいというわけではありません。子どもの気持ちを受け止めつつ、「これは大事なことだから守ってね」と、親の願いや考えをしっかり伝えることが大切です。例えば、「あなたの気持ちは分かるけれど、これは大切な約束だから守ろうね」と言えると、子どもは納得しやすくなります。
この昔話には、そんな親と子の関係性についてのメッセージがあり、静かに、でも深く問いかけているように感じます。

「かえるの聞きじまい」は、親子の関係において「正直さ」「一貫性」「心の軸の持ち方」がいかに大切かを教えてくれます。子どもが安心して育つためには、親自身が自分の価値観をしっかり持ち、言葉と行動にぶれがないことが何よりの支えになります。昔話に耳を傾けながら、今の子育てに活かせる知恵を受け取っていきたいですね。

「かえるの聞きじまい」が掲載されている本

カテゴリー

このカテゴリの記事

子育てのヒント
を検索

このページの先頭へ