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仙台で感じたこと・思ったこと その3 ~指定避難所でないのに1,600人~

災害が起こった時に、避難所の様子がどのようになるか、被災経験がないとなかなか想像することすら難しいです。それでも、阪神淡路大震災や、中越地震、東日本大震災後には、避難所の様子がメディアに流れ、何となく知っているという人も多いでしょう。また、いざという時に備え、避難所についても常に関心を持っていて、情報収集し、あるいは、被災地を訪問し、実際に見てきたという方も多いと思います。
そのすべてが真実です。しかし、防災について考えるためには、自分が見てきたもの、情報を得たものは、全体の中のほんの一部で、それがすべてではないということを前提に、考えていく必要があります。それは、どんな災害が、どんな場所で起こったか、季節や時間帯、そこにいる人たちの様子、地域性などによって、状況が変わるからです。

3月に仙台で開催された国連防災世界会議のパブリック・フォーラムの中で、避難所をテーマにしたフォーラムに参加しました。17日(火)に仙台市市民活動サポートセンターで行われた「避難所運営トーク ~こうしてよかった。~(主催:ゼブラルタイムス)」です。

避難所運営

基本的に避難所は、自宅に住めなくなった人たちが行くところであり、災害が起こったら誰もが行かなければならないところではありません。
また、指定避難所は決まっていて、各小・中学校ですが、災害は自宅にいる時に起こるとは限らないので、被災したら近くの安全な場所に逃げるという行動が第一となります。

そもそも避難所に指定されているところは、市町村が管轄している施設が中心で、県立の施設は指定されていないことが多いです。しかし、災害が起こると、より近くで安全な場所へと人が集まります。そのひとつの例として、指定避難所ではない県立高校に1,600人もの避難者(生徒300人程度も含む)が集まったという事例を、当時石巻好文館高校の山本浩人先生が発表されていました。

避難所運営

実際には、最初はAという避難所に避難した人が、翌日にはBという避難所に移動している場合など、避難者の人数は日々変わります。そして状況も変わります。
しかしその混乱の中、高校の教員や生徒が中心となって、完全に撤収となるまでの間(完全撤収は、10月までかかった)、過ごしたそうです。避難所運営することになってしまったとはいえ、指定避難所ではない(つまり、住民が避難している場所だと認知されていない)上に、津波の影響で陸の孤島となり、支援物資が届かない、次に何が起こるかわからないという不安があったそうです。報道のヘリコプターがたくさん飛んでいたので、屋上などで手を振ったり、窓に「SOS」など書いたりしたそうですが、「案外気づいてもらえなかった」という実感があったそうで、津波で浸水しているところを、時に胸にまで冷たい水に浸かりながら、支援物資を届けてほしいということを伝えに向かったそうです。

このように、避難所運営していくということは、予想しないことが日々起こり、先の見通しのない中で、随時適切に判断し、過ごさなければなりません。柔軟な対応や、決断する力、今後どのような状況になるかを見極め、先に対策できる事は次のアクションを起こすこと、そのために必要な想像力・行動力などが必要になります。その中でも一番重要なのは、柔軟性なのではないでしょうか。

避難所運営は、行政の人が来てリーダーシップをとってくれるものではないですし、必ずしも自治会の人が中心と決まっているものでもありません。避難所にいる人の中で中心となる人を決めて運営していく事になります。「誰かがやってくれる」というものではないのです。帰宅困難者や地域以外の人も受け入れ、柔軟に運営するということは、言葉で言うほどたやすいことではないのです。被害の状況や、そこにいる人々の状況によって、臨機応変に判断し、対応していくことが必要であり、それをやるのは、誰かがやるのではなく、私たちみんなでやっていくことなのです。

(わかば)


下記もご覧ください。
仙台で感じたこと・思ったこと その1~ひとりでも多くの命を守りたい~
仙台で感じたこと・思ったこと その2~原発事故が起きたら復興はない~    

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