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“惜しい”防災にならないために
災害が起きてしばらくすると、行政や地域で備蓄しているものがもらえることがあります。ただ、何でも揃えられているというものではないですし、全員に行き渡るほど備えられていると思って当てにしていると大変なことになります。
実際に過去の大災害でも、子ども用オムツは支援物資として配布されても、おしりふきが足りなかったという話がありました。せっかくオムツが手に入っても、赤ちゃんのおしりを拭くものがなければ困ってしまいます。実は私も、非常用持ち出し品を用意していたのですが、開けてびっくり!子どもの着替えがすっかりサイズアウトしていて、これでは役に立たないとヒヤッとした経験があります。平時なら「惜しかったね」と言ってお店に買いに行くなどするかもしれませんが、被災後の生活ではそうはいきません。
そんな惜しい備えにならないために、もう一度、いざという時のための備えを再点検してみませんか?
・オムツを用意するなら、おしりふきもセットしておく
おしりふきは多めに用意しておくと、お風呂に入れない時に体を拭くために使うなど応用できます。
・子どものための備えは、子どもの成長に合わせる
子どもはあっという間に大きくなります。特に乳幼児期は、おむつのサイズひとつとっても、どんどん大きなサイズになります。食べ物や飲み物はローリングストックするとしても、被災後の生活のための衣類は、季節や子どもの体のサイズに合わせたものを用意しておきたいものです。また、子ども用品だけでなく、子どもが避難所で過ごす時に役立つおもちゃや絵本、お菓子なども入れておくと安心です。もちろん、おもちゃや絵本も、今のお気に入りのものを入れておくことをお勧めします。お菓子も非常時には大事な食料です。また、お菓子には賞味期限が比較的長いものがあるのもうれしいところです。
・予備バッテリーを用意する
普段スマホで、情報収集や連絡、メモなど生活に役立つ機能を活用していると、スマホさえあれば災害時でも安心と思っていませんか?でもバッテリーがなくなれば、スマホに入っている大切な情報や機能を使うことはできません。避難所運営が始まり、電気が使えるような状態になれば充電することができますが、今やスマホも1人1台時代。充電ができる台数にも限りがあります。また、スマホだけでなく、電化製品はみな電源が必要です。バッテリー(電池なども含めて)の準備をする時に、災害時にどれくらいの家電製品を活用しようと思っているのかを想定することから始めませんか?
・コンタクトレンズを使っているなら、めがねを用意しておく
災害時を想定すると、コンタクトレンズの洗浄液や、レンズそのものを多めに用意する必要があります。手洗いすら十分にできない状況になるかもしれないことを考えると、コンタクトレンズではなくめがねを用意するようにしてみてはどうでしょうか。また、災害は寝ている間に起こることもあります。周りが見えないまま行動するのは危険ですので、枕元にすぐ装着できるようにめがねを置いてくことも大事です。
・簡易トイレを用意したら、使用済みのゴミを入れられる防臭袋も用意する
簡易トイレを用意したら、トイレットペーパーも必要です。それだけではなく、トイレを使用した後のことも考え準備をしていますか?大災害が起こると、ゴミ収集が平時とは違って、いつ収集があるかわかりません。万が一の場合の汚物の置き場所を考えておくことや、できるだけ防臭効果があるような袋を併せて備えておくと安心です。
・季節によって備えを変える
冬の時期にいざという時の備えを頑張って用意したので寒さ対策のカイロや毛布などは万全。でも、そのままの準備で季節が過ぎると暑さ対策になるものがないので、夏に災害が起こると困ってしまいます。備えの見直しを、年1回よりは、半年に1回、あるいは1シーズンに1回というタイミングにしたくなりませんか?
・家族一人ひとりの特性に合わせた用意をする
例えばアレルギーのある家族がいたら、身につけるものや食べ物など、アレルギーを悪化させないための備えが必要です。音に敏感な人がいれば、耳栓などを用意する。感染症などにかかりやすい人がいるようなら、常備薬あるいはマスクや手指消毒をするためのものなどを用意しておくと安心です。子どもたちにも、直接何を用意しておきたいかを聞いてみると、防災学習になります。たくさんの人たちと一緒に過ごす避難所生活をするのが難しそうな場合は、車中泊や被災地以外の場所への避難を検討しておくことが必要かもしれません。
・ペットのための備えを忘れずに
ペットがいる場合は、ペットのための備えをします。災害時、支援物資で食料が配布されても、ペットの分はありません。ペットのための水・食料、ペットシーツ、ゲージなど必要なものを揃えておきましょう。また、地域の避難所に同行避難できるのかなどをあらかじめ知っておきたいものです。
備えについて考えていると、あれもこれもと必要そうなものがたくさんあげられます。災害に遭ったら、普段の生活はどう変わるのか、どんなことに困るのかを想像して、必要なものを考えていきたいですね。ただし、非常用持ち出し品の用意をする場合は、持ち出せる量や重さには限りがあります。特に子ども連れや妊婦さんの場合は、子どもを連れて荷物を持って徒歩などで避難するので、自分の避難行動を想像しながら準備しましょう。
文/静岡県ふじのくに防災士 鈴木