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フィリピンの医療事情とお産 助産師たちのつぶやき

助産師たちのつぶやき今回のテーマはフィリピンの医療事情とお産についてです。

私は一昨年、フィリピンにおける母子福祉の調査という名目で、フィリピンのスービックという場所に行ってきました。スービックはマニラから車で4時間ほどの距離にあります。都市部とは違ってまだインフラも十分に整備されておらず、自然が多く残るところでした。フィリピンでは近年の経済発展に伴い、都市部と地方の経済格差が大きく貧富の差が拡大していることが問題となっています。実に総人口の約25%が低所得者であり、4人に1人が貧困生活を余儀なくされています。私が行ったスービックは、特に低所得者層が多い地域といわれており、病院にかかるお金がないために体調が悪くても自宅で我慢し、重症化してしまうケースが多いそうです。また、地域によっては医師がおらず、呪い師や祈祷師への信仰も厚いため、必要とされる処置を受けることができずに命を落としてしまうこともあるそうです。

私がボランティアとして活動したクリニックでは、日本人助産師と、現地で伝統的産婆をしている2人が診療を行っていました。マタニティクリニックですが、この地域には貧困のために病院へかかれない方が多いため、風邪や呼吸器疾患、子どもの発疹から怪我に至るまで、さまざまな人がやってきます。限られた医療資源の中で、今自分に出来ることは何なのか、非常に考えさせられる体験となりました。

日本では通常、妊娠が判明してから母子手帳をもらい、決められた週数毎に妊婦健診を受けることになります。しかし、フィリピンではまだそういった制度が浸透していません。そのため、いわゆる飛び込み分娩が多く、滞在した短い期間の中でも、クリニックに到着するや否や出産となる方も数名いました。私がケアに入らせてもらった初産婦さんは、子宮口が4cmの状態で入院しました。分娩になるには子宮口が10cmまで広がる必要があります。日本では、初産婦さんであればそこから早くて半日、長ければ1日以上かかることもザラにあります。しかしその方は、あれよあれよという間にお産が進み、およそ1時間後には赤ちゃんと対面することになりました。なぜここの人たちは、お産がこれほど順調に進むのでしょうか。

その答えは生活習慣にありました。先に述べたように、ここではインフラが整備されていないため、水を汲むのにも、食料を買いに行くにも、舗装されていないガタガタの山道を何度も登り降りしながら生活しなければなりません。そうして鍛えられた筋肉やバランス感覚によって、赤ちゃんが順調に産道を通って産まれてくることができるようです。妊娠前からの生活習慣が、お産に大きな影響を与えるのだと実感しました。

もちろん日本で同じ生活をすることは難しいと思います。ですが、ちょっとお出かけをする時には車を使わずにウォーキングしてみる、晴れた日には気分転換に散歩やスポーツをしてみるなど、日々の習慣に運動を取り入れてみるのはいかがでしょうか。妊娠してからでは出来ることも限られてしまいます。ぜひ妊娠前からの運動習慣をつけ、身体と心のバランスを整えていきましょう。

文/浜松医療センター 助産師 東真梨子

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