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きみなんかだいきらいさ

もうすぐ4月、あたらしい学期がはじまります。初めて幼稚園や保育園に入るお子さんもいらっしゃるでしょう。親としては、あたらしい環境でうまくやっていけるかしら・・・お友だちとなかよくできるかしら・・・と、気になるところですね。でも大丈夫。子どもは、けんかしたり、仲直りしたりしながら、成長していくんですよ。

タイトルに、いきなり「だいきらいさ」なんていう否定的なことばが出て来て少し躊躇するかもしれません。でも、読んでみると、「なあんだ、やっぱりきみが大好きさ!ということだったのね」と、主人公たちがいとおしくなりますよ。

まずは2ページにわたって二人の男の子が登場します。ジェームズとぼくです。二人は肩をいからせにらみ合っています。3ページ目は「ジェームズとぼくはいつもなかよしだったよ」と肩を組む二人。ところがもう次のページでは、「でもきょうはちがう。ジェームズなんかだいきらいさ」と、二人は画面の両端で背を向けています。

きみなんかだいきらいさ (センダックの絵本)
ジャニス・メイ・ユードリー
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けんかの原因は描かれていませんが、次のページから、思いつくかぎりのジェームズの悪口が続きます。「いばりたがるし、クレヨンはかしてくれないし・・・」と。これって、子どもならだれでも「そうそう」と思い当たることがあり、共感する場面です。ところが、「もうぜったいともだちになってやらないから」と言ったとたんに思い出すのは、ジェームズとなかよく遊んだ日々。でも、まだ、素直になれないまま、ジェームズのところへ行きます。仲直りできるのかなと思うと・・・そんなに簡単には行きません。またしてもけんか。でも、もともとなかよしの二人です。「ねえ、ジェームズ!」「なんだい?」このひとことで、わだかまりはたちまち解けて、またなかよしに。

「ローラースケートやらない?」「オッケー!クルクルクッキーはんぶんあげる」
この、クルクルクッキー半分が、子どもにとって本当にわかりやすい仲直りのしるしなんですね。

絵は「かいじゅうたちのいるところ」でおなじみのモーリス・センダックです。二頭身半のあたまでっかちの主人公たちの、顔の表情だけでなく、手足、背中までもが、子どもの腹立ちや、ためらいや、うれしさを見事に伝えています。この絵本が縦横たった15センチの小型であることも、子どもたちの内面に静かに寄り添うお話にうまく合っています。 

こんな絵本に出会うと、子どものけんかも心配どころか、親としては楽しい観察対象になりますよ。

文/子どもと絵本ネットワークルピナス代表 松本なお子さん

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