子育て応援企業紹介

「働き続けたい」職場をつくる海谷眼科グループ

2020年3月31日

海谷眼科

海谷眼科グループは、眼科におけるあらゆる疾患領域で最先端の医療と利用者主体のサービスを提供しています。信頼できるクリニックとして地域で評判となる理由は、先端医療だけでなく、携わる従業員の技術力・ホスピタリティの高さにもあります。
その背景には、働き続けたい従業員のために「子育てにやさしい職場」を整えたことにあります。その取り組みである、企業内保育園の設置、働き方改革teamなどを紹介します。

子育てにやさしい職場づくりの実現へ

働き手として女性の活躍が期待される時代になりましたが、家事や育児と両立しながら働くことは想像以上に大変であり、環境に制限され、やむを得ず離職する女性もいます。220名の従業員のうち女性が8割を占める海谷眼科グループもその課題に直面していました。従業員の離職はスキルや経験を手放すことにつながり、これまで医療現場においては大きな損失でした。その課題解決の第一歩が「企業内保育所の設置」。そこに至るまでの過程について海谷比呂子社長に話を伺いました。

海谷社長

「医療の現場は、1年、2年かけて技術を習得することが多く、妊娠退職によりその技術を手放してしまうことはもったいない。午前だけ、午後だけでも働けるのであればそれでもいいのではと考えた」と、海谷社長。その環境を作るべく、企業内保育園の設置に奔走。2013年に2名の園児より「フラワー保育園」を開園しました。社員だけでなく、パート・派遣社員などすべての従業員が利用可能です。それにより、保育園待機問題も解決。短時間勤務の正社員という選択肢も増え、妊娠・出産を理由とした離職はほぼゼロになりました。「最初は従業員に信頼されず、浸透するまでに数年かかった」と苦労もありました。でも「働き方改革に早めに着手してよかった」と話す海谷社長。保育園があるから就職したい、という方も増えています。子育てにやさしい環境は、技術力の保持、離職率の低下、雇用の創出につながっているのです。

安心して子どもを預けられる環境

検査員

政府や自治体の取り組みにもかかわらず、なかなか解決の糸口が見えない「待機児童問題」。保育園に入れないから職場復帰ができないという話は身近な話題として聞こえてきます。
検査員として働く伊藤孝さん、山中美由記さんも企業内保育園を利用しています。お話を伺うとやはり「子どもの預け先に悩まなくてすむことがありがたい」というのが第一声でした。

子どもを育てる環境と働き方の選択肢

「子育てに心配がない」と伊藤さん。共働きで課題となる保育園待機の心配がなかったこと、子どもが発熱時など休める環境があること、福利厚生の一環で保育料が安いこと、保育園のフォローが手厚いことなど、子育てにおいて環境面での心配がほとんどないと言います。「子どもが熱を出したときに早退することもあるが、他の方からねたみもなく、優先すべきこととなっている」と伊藤さん。男性が育児に携わることが当たり前、従業員同士が助け合える、そんな環境がありました。
2度の産休・育休を取得し、短時間正社員として働く山中さんも「働き方の選択肢がたくさんあり、選べる環境にあることが幸せ。経験値を生かし、職場環境が変わらず働けることはストレスがない」と話します。それが長く働ける理由のひとつとなっていました。

企業と一緒に創り上げる保育園

フラワー保育園

企業内保育園は、いわゆる「託児所」と思われがちですが「フラワー保育園」は違いました。「家庭的だということ、手作りのおもちゃを用意すること、一人ひとりのペースに合わせて生活することに重点を置いている」と話すのは開園時から携わってきた保育士の西田さん。お母さんたちの声が集まって、今の保育園ができました。開園6年目の現在、15名の子どもたちを4名の保育士で預かっています。

フラワー保育園

「社長をはじめ企業が子どもたちのことを一緒に考えて創り上げてくれている」とも話します。週案、カリキュラムの作成、個別懇談など子どもの成長を支える取り組みも大切な仕事。そして運動会、遠足、夏祭り、リトミック参観など、親も参加できるイベントも多く開催しています。安心して子どもを預けられる環境があるからこそ、従業員が仕事と真剣に向き合うことができるのです。

出産前から子育てにやさしいサポート

海谷眼科グループオリジナルの冊子

海谷眼科グループには、保育園のほかにも子育てにやさしいサポートがありました。
産休に入る前には海谷眼科グループオリジナルの冊子を配布しています。産休・育休における法律や提出書類の書き方がわかりやすく解説しています。経験者の声を反映させ徐々に進化し、産休・育休取得者の不安も和らげています。そのほか、「子どもの病院付き添い時の有給事後振替」も子育て中にうれしい制度です。子どもの発熱など急な疾病で病院に付き添う場合は、早退・遅刻・欠勤なども可能です。事後振替でも、半日単位で有給に変更することができます。

従業員発信「働きやすい環境を考える」チームづくり

部長の今村龍二さん

社内には、働きやすい職場環境の構築を推進する「働き方改革team」があるということで、部長の今村龍二さんに詳細を伺いました。

「働き方改革team」は、各事業所からメンバーを募った従業員発信のチームです。「患者さんがメインとなる業態だけに、働き方とのバランスが難しい」という今村さん。緊急対応や丁寧な診察を考えるとどうしても時間が必要となる中、「何が削減できるか」を考えています。 例えば、会議時間の削減をしたり、有給取得率を改善したり(2019年実績で取得率約70%:正職員)、残業時間の改善などを行っています。現在は、勤怠の可視化によりオンタイムで従業員の働き方が見えるようにし、さらなる残業時間の削減に着手しています。「子育てをする環境を作ることは比較的簡単。でもそれ意外の人に対しての配慮が大切」と語る今村さん。制度を作るときに、「そうでない人」の不満はたまっていくものです。その不満を1つ1つ解消しながら、そして制度を使う側も、甘んじることなく全力で仕事に向き合えることが、「子育てにやさしい環境」につながっていました。

保育園、働き方の選択肢、働き方改革など様々な改善により従業員の定着、採用課題の解決に尽力してきた海谷眼科グループ。今後のビジョンとしては、『全社員が利用可能な短時間正社員制度の構築』だそうです。介護問題など短時間にならざるを得ない方に対して、パートではなく正社員のまま働けるスタイルを模索しています。

“働き続けたい”職場をつくることは容易ではありません。時間もかかるし労力もかかる。それでも改革に着手し定着させた海谷眼科グループの環境づくりは、企業にとっても従業員にとっても、幸せでやさしい相互作用をもたらしています。

会社概要

海谷眼科

海谷眼科グループ
海谷眼科、みどり台海谷眼科、かけ川海谷眼科の3拠点を運営。世界レベルの高度な 検査・診断・治療と利用者の立場に立ったホスピタリティで地域に愛されている。そのほか、コンタクトレンズ・医療機器の販売など幅広いメディカルサービスを行っている。

所在地:浜松市中区助信町27-27
TEL:053-471-2977
URL:http://www.kaiya-eyes.com/

取材を終えて

インタビューした従業員の山中さんにこれからのビジョンを伺ったところ、「現在働いているスタッフのお手本になること」と話してくれました。「子育てしながらがんばっている姿を見せたい」と照れくさそうに話す姿は、同じく子育てをしている私としても、とても刺激的なものでした。
海谷眼科グループは、子育てがしやすい職場環境づくりへの積極的な取り組みが評価され、 2018年、静岡県から「子育てに優しい企業」として表彰されています。その取り組みはただ保育園を作ればいいのではなく、今日明日にできることでもありませんでした。まずは経営者が 強い信念をもってしくみを作り、管理職・役職者が実行、そして従業員の相互理解と意識改革、そして定着、と長い時間をかけて丁寧に創り上げていくものだと感じました。
産休・育休を取得することに抵抗がない環境、子育てをすることにストレスのない環境、産休取得前と同じように活躍できる場があること、そして何より「保育園があること」など、子育て世代が輝ける海谷眼科グループでは、全従業員の一人ひとりが輝く笑顔を持っていました。

文/芝田 実希