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いつ福島に戻るのか、また戻れるのか……。未来は不安

東日本大震災から5年 今伝えたいこと<6> 

Aさん
(新潟市在住)

ぴっぴ:福島から新潟への避難者は当時と比べると現在、どのくらいいらっしゃるのでしょうか? また、現在皆さんの生活はどうされているのでしょうか?

Aさん:避難当時(平成23年3月31日時点)と現在(平成28年1月末現在) の人数は以下の通りです。

新潟県=当時9,222人。→現在3,658人(減少) 

新潟市=当時778人。→現在1,530人(増加) 

上記結果からもわかる通り、新潟県全体としては、避難当時と比べ 大幅に避難者が減少しています。 しかし、新潟市に限ってはこの限りではなく、むしろ震災当時よりも 現在の方が避難者数が増えている事がわかります。 これは、震災後に自主避難者が増加した為に起こった現象で、 時間の経過と共に、県内からの移動なども含まれます。 

経済的な理由により、泣く泣く福島県に戻られた方が当時とても多くいらっしゃいました。 また、現在も住宅支援の打ち切り発表を受け、その傾向が強いと言えます。避難者の多くは、住宅支援打ち切りに不安を抱えながらの生活をしています。 

「うつくしまの会」のようす

また、避難により転校を余儀なくされた子ども達が大人の経済的な事情により 再度転校を余儀なくされる事に親たちは怯えて生活を続けています。 いつ福島に戻るのか、また戻れるのか…先を考えると不安になるという 生活をされている方がとても多いです。

ぴっぴ:5年目を迎え、郷里に帰ることについてどのように考えていらっしゃるのでしょうか?

Aさん:とても不安を感じていると思います。 除染が進んでも、福島へ帰ると現実が待っています。 帰る度に、ここでもう一度生活できるのか?子ども達の健康は守れるのか? と、いろいろな不安を抱えている方が多いです。

また、帰還に関して言えば、一度失ったコミュニティを再構築できるのか? また、周囲の環境や人間関係、就業に関してなど、全てがゼロから、 またイチからなのか…と不安に思っている方も多くいます。 子どもを持つ母親の一番の心配は、子ども達の学校や進学問題です。 帰還すれば、転校を余儀なくされる子ども達は、この避難の犠牲者だと感じている親が多いです。

2011年の新潟市報道資料

ぴっぴ:現在の課題は何でしょうか?

Aさん:福島へ帰還したい人、したくない人、それぞれいらっしゃいますが、 一度避難された人の多くは、できる事ならこのまま避難を続けていたいというのが本音です。 その理由は、放射能への不安があります。 住宅支援が打ち切りになれば、この避難生活を続けられなくなる方はたくさんいます。なんとか、避難の自由と権利を守り支援を続けてほしいと思います。 今後、経済的に苦しくなる方が倍増する事が予想されるので、何か支援が必要だと感じています。

Aさん
新潟市在住。 NPO法人スマイルサポート新潟 代表。

※本文中の写真撮影:ぴっぴ

ぴっぴから

2011年11月、東日本大震災後、福島県内から避難されている方々がたくさんいらっしゃるということで、新潟市役所や子育て応援施設ドリームハウスさんに状況を伺う予定で新潟市に向かいました。

ちょうど、避難所は閉じられた時でしたが、避難された方々の交流会「うつくしまの会」が開かれるということでしたので、参加させてもらいました。自主避難して来られたり、強制的に避難せざるを得なかったりした家族や親子がたくさん集まって来られていました。当時、線量計を持っておられた方もいて、家族を気遣っておられることがとてもわかりました。

数人の方と同じ親の立場で話しながらも、被災者の方とは明らかに違う状況に、どうしたらよいのだろうと戸惑っていたところ、「この現状を遠く離れた人たちに伝えて欲しい」と、父親である若い男性に言われたことが深く残っていました。

5年の歳月が経ち、ふくしまの場合は災害とそれ以上に人災であるゆえに、いつまでもこのような状況が続くのは傍目から見てもつらいです。Aさんが名前を伏せられたことは、いくつも理由があって、ほんとうにお話を伺って良かったのかとさえ気になり始めました。これまで自分たちは、ふくしまを冷静に見つめた時、どうかかわっていいのか難しいと感じてきました。しかし、このままではいられませんでした。ですから、おかしいことはおかしいと毅然と声に出さなければならないのかもしれません。それは、被災を免れた私たちだからこそできることとして、です。

<hiro>

「東日本大震災から5年 今伝えたいこと」シリーズ

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