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絵本笑介 「いない いない ばあ」 その1

いない いない ばあ「いない いない ばあ」
 さく/松谷みよ子
 え/瀬川康男
 童心社

誰だって知っている「いない いない ばあ」。
それもあの定番の絵本!
木村ゆういちの飛び出す「いない いない ばあ」だってあるのに・・・。
もう耳にたこができた!と思われたあなたに。

ちなみに「耳に胼胝ができた」という“胼胝”は、慣れて特に感じなくなること、と広辞苑にあります。「慣れ」は怖いですよお。感じなくなってしまうんですよ。こんなに30年以上読み継がれている良書の最高峰です。大人のみなさんも読解力が育っていませんねえ。赤ちゃん用の絵本に読解力?何をおっしゃる!と思うでしょう?

この絵本笑介(しょうかい)は図書館の推薦図書とは違います。あくまでも木村独自の勝手なコメントですのでご了承ください。

さて、この絵本、もうしゃぶられて角がぼろぼろですか?中のページは健在でしょうか?ブックスタートでもらったばかり・・・では、お手元にもう一度開いてみてください。

最初のページにネズミがスタートしました。俵(かご)に隠れて「いないいないばあ」したらどこへ行ったでしょう?最後のページから更に裏表紙へ、そこでゴールです。「もう1回読んで」と頼まれれば、ネズミはもう一度ヨウイドン!です。絵本に動きがありますね。
では、次に「にゃあにゃがほらほら」をめくって「ばあ」したページをよく見てください。何かが違う?手が“ばあ”している、だけじゃない!しっぽの位置が向かって右から左に動いていますね。なぜでしょう?想像してください。ある3歳児は「ぐるっと回って“ばあ”したんだよ!」と言ってくれました。ネズミのしっぽも狐のしっぽも移動していますよ。

絵本の絵は平面ですが、頭の中では3Dですよ。さらに五感が加わりますから子どもの想像は限りなく広がります。絵本の絵は見ることから読むことへの成長が、この想像によって育まれます。絵本の裏表紙に“○歳から・・”などと書かれているものがありますが、実年齢より読書年齢で出会ってほしいところです。読書年齢とは、どれほど絵を読む楽しさが育ってるかです。3歳児でも赤ちゃん絵本でスタートした方がいい子もいます。年長さんで「エルマーのぼうけん」に夢中になれる子もいます。とはいえ、年齢による経験値というのもありますので、一概に無視はしませんよ。

さて、“のんちゃん”のページにきました。みなさんはこの見開きをどうやって読んでいますか?半分に折ったり、片手を手で隠したり、と読んでいることと思います。そのまま見せてしまうと双子の“のんちゃん”になってしまいますから気をつけて。なんでわざわざ見開きのページ構成にしているのでしょう?考えたことがありますか?だから“慣れ”は怖い!と言いました。感じなくなって考えなくなって、そうすると人間は感動を忘れてしまいます。いつの頃から答えさえ合えば良しの勉強になってしまったのか、考える感動はどこへいったのか。応用力や読解力が身についていない学力調査の結果が新聞に大きく載っていました。こちらの話はまた後でじっくり絵本をだしに熱く語りたいところです。

小学6年生が「いない いない ばあ」で感想文を書いて賞を取りました。松谷みよ子の児童書に出会った彼は彼女の人間性に感動し、彼女の作品を読み続ける中で「いない いない ばあ」のこの“のんちゃん”のページに疑問を持ったのです。なんでめくって「ばあ」しないの?1枚ページを増やす予算がなかった?・・・まさかあ・・・「そんなの関係ねえ」なんて踊っている場合ではありません。

絵本はひとつの芸術作品と同じです。文章を書く作家とそれに絵を添える画家とのコラボレーションです。そのハーモニーは時には難解であっても、深い意味を隠し持ち、読むほどに味わうほどにその感動は心に刻まれるから何十年も読み継がれていくのですね。読んでもらう年齢と読んであげる年齢と成長過程でまた自分で読むとき、絵本はその都度の味わいがあります。さあ、感想文にまで仕上げた彼の見つけた「いない いない ばあ」の“のんちゃん”のページに隠されたこの作品のメッセージは?

この後は次回に。
まだまだ続く「いない いない ばあ」のお話。

「いないいないばあ」<><><

文/木村友里恵さん

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