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絵本笑介 「いない いない ばあ」 その2
「いない いない ばあ」
さく/松谷みよ子
え/瀬川康男
童心社
さて、前回に引き続き「いない いない ばあ」のお話。
小学校6年生が“のんちゃん”のページに疑問をもちました。なんでめくってばあ、しないのか?
彼は科学の本を読んでいたとき、その疑問にヒントを見出しました。
「植物の成長には4つの要素が必要である。太陽・土・水・・そして○○・・」
“ピカッ!”彼はのんちゃんの成長に当てはめて考えました。
さあ、○○がわかった方はいますか?
植物の成長には太陽の光エネルギーで光合成がおこなわれ、土の栄養や雨などの水も吸収して成長します。そしてもうひとつとても重要なことがあります。
たとえば、「桃栗3年、柿8年」ということわざがあります。意味は「芽が出てから実を結ぶまで、桃と栗は3年、柿は8年かかるということ」です。このあとに「梅は酸いとて13年、柚子(ゆず)は9年の花盛り、枇杷(びわ)は9年でなりかねる」などという言葉をつなげたりもします。
彼は、人の成長にもこの“実がなるまでの時間”が必要だ、と考えました。そう、答えは「時間」です。右のページの「いない いない・・」から「ばあ」を原因と結果という言葉で表現しています。原因とは「事物の変化を引き起こすもの(広辞苑)」です。人の成長に置き換えれば、“はいはい”から“つたい歩き”、スプーンからお箸へ、一語から二語へ、ですね。
この成長への時間を右ページから左ページへ続けて配置することで、時間の流れを捉えることができます。あのページをまたぐ空間は「いないいない・・」から「ばあ」へと流れる“時間”を表していたんですね。成長には必要な時間があることを伝えるためにこの構成にしていたとは・・・。めくってばあ、ではこの流れを読み取れません。
絵本は絵を読む楽しみだと思っていましたが、文章と文章の間の空間も読み取ってしまう、う~ん!すごい読解力!
原文を読みたい方には残念ですが、この感想文の原稿は私の手元にはありません。十数年前にある方から聞いた話ながら私は大変感動しました。その方はさらに、成長への時間を待つゆとりをもつことが子育てには大切であることも、松谷みよ子のメッセージではないか、と。
この絵本は我が子に何度も読み聞かせをしてきましたが、こんなことチラッとも思いませんでした。(笑&悲)。もちろん松谷みよ子の児童書「ふたりのイーダ」なども読んでみました。灰谷健次郎「太陽の子」や椋鳩十「人間はすばらしい」など、これらの児童書も大人も是非読んだらいいと思いますよ。鈍感になった感性のために“読み聞かせ”は一石二鳥のメリットです。
子どもにとっても、親にとっても読書は人を育てるわけです!
ところで、「いない いない ばあ」の法則ってご存知ですか?
赤ちゃんは「いないいないばあ」が大好き!どうしてでしょう?
この後は次回に。まだまだ続く「いない いない ばあ」のお話。