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絵本笑介「ももたろう」その1
「ももたろう」
ぶん/松居 直
え/赤羽 末吉
福音館
誰もが知っている「ももたろう」。必ず良書に選ばれるこの「ももたろう」。
なぜこの「ももたろう」だけが有名になったのでしょうか?というのも「ももたろう」は「いない いない ばあ」並みに同名タイトルの出版が多い本です。
もし100円の「ももたろう」とこの千円の「ももたろう」とどっちを買ってあげたいと思いますか?給料日前の設定はやめましょう。
まず本にはデザート本と主食の本があることを説明します。
子どもに絵本を選ばせればキャラクター本が多いでしょう。それは子どもの楽しみですから、おやつや食後のデザートと同じです。でも身体の血や肉になる主食になる本も摂って頂きたいですね。それが良書という本です。これは親の務め。子どもが読みたい本と親が読ませたい本とのバランスです。偏った摂り方はその後の成長に偏りを生じさせます。学習能力?人間関係能力?想像力?あらら・・・脅かしちゃおうかしら!!!
大丈夫ですよ。ちゃんと保育園や幼稚園では優れた絵本にどんどん出会わせてもらえます。しかし、人任せはいけません!
では、主食となる良書とはどんな絵本をいうのでしょうか?
そこでこの「ももたろう」を解体して説明しますので、お手元にご用意ください。
文を書いた人=松本 直。この方福音館を作った人。日本の絵本文化を引っ張ってきたお一人。この「ももたろう」の再話のために日本中を歩きました。絵を描いた人=赤羽 末吉。この方日本人で初めて国際アンデルセン賞・画家賞を受賞しています。「スーホの白い馬」は、サンケイ児童出版文化賞・アメリカのブルックリン美術館絵本賞を受賞するなど、絵本画家としては輝かしいばかりの功績です。なのに今で言う“老人力”の遅咲きの花。このふたりのコラボ作品ですから、東京フィルハーモニー交響楽団をバックに秋山雅史氏の「千の風になって」を聴くようなものです。
「むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがすんでいました・・・」で始まるこのページをよ~く見てください。
おじいちゃん、ちゃんと山でしばかりしてますか?
おばあさん、川でせんたくしてますか?
当ったり前のことですが、子どもは耳で聞きながら絵を見て想像しているわけで、その書かれてある文と絵が合わなかったら想像のしようがありません。余談ですが、おじいさんとおばあさんが庄屋のような立派な格好で描かれているものもありました。裕福な庄屋さんが川で桃なんて拾ってきませんよね。
「ももが つんぷく かんぷく・・・」
いい表現ですね。さらに食べてみたらうまい!これをおじいさんにもあげたいというやさしい思いでまた桃を呼んでみます。そして流れてきた桃を持ち帰ります。一般的に一個だけ流れてきた桃を持ち帰るシーンが多くないでしょうか?このおばあさんのやさしさは夫婦仲が良い証拠です。
さて“ももたろう”がいよいよ桃からパカッと生まれるシーンです。
生まれながらにして少し筋肉質のももたろうは、ぐぐっとももを自分の両手で開けています。包丁で切った桃は割れ目がきれいです。包丁で描かれている「ももたろう」で、ある三歳児は「頭に包丁刺さらないでよかったねえ」と一言。Mr.マリックのイリュージョン?!
やさしいおじいさんとおばあさんのもとでしっかり成長したももたろうに、からすがやってきます。鬼が島の鬼の極悪非道さを訴えます。だから鬼退治に行くのです。
つづく
「ももたろう」<1><2>