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眠たくなるお話~子どもの睡眠について~

浜松市発達医療総合福祉センター小児科の遠藤です。
小児科医になって10数年になりますが、外来受診をされた保護者の方に必ず確認することがあります。
あまりきれいな表現ではありませんが、「くう、ねる、あそぶ」の確認です。
だいぶ昔、ある車のCMで使われていたキャッチフレーズと同じです(分かってくださる方が少ないかと思いますが・・・)。
風邪や喘息発作などで受診されたお子さんはもちろんのこと、発達障がい、身体障がいのお子さんの「食事」「睡眠」「遊び」の3つの要素がどれくらい保たれているのかを確認することで、そのお子さんの生活困り度レベルを評価しています。
「食事」では、食欲はどうか?好き嫌いしていないか?食べ方はどうか?等を、「睡眠」では、寝つき・目覚めはいいか?途中で起きないか?何時に寝て、何時に起きているか?お昼寝はどうか?等を、「遊び」では、どんな時間帯に遊んでいるか?どんな遊びが好きか?誰と遊んでいるのか?等を確認しています。

ブログには、すでに食事・食育のお話や遊びのお話は出ておりましたので、ここでは「ねる(睡眠)」のお話をさせていただきます。

眠たくなるお話~子どもの睡眠について~「寝る子は育つ」・・昔からある格言ですが、これは本当です。
子どもにとっての睡眠の重要性は、大人の比ではありません。
お子さんの脳では、夜間に成長ホルモンの分泌が増えて、心身の成長を促します。
2007年のJohnson&Johnsonの国際的な調査では、0-3歳のお子さんの平均睡眠時間は11.7時間でした。
ちなみにお隣の韓国は11.9時間、アメリカは12.8時間、オーストラリアやニュージーランドでは13時間を越えています。
「睡眠は人生の3分の1を占める」とあるCMで言っていましたが、子どもでは「睡眠は人生の2分の1を占める」のです。

「脳の脳による脳のための眠り」・・これは2005年のNatureという世界一流の雑誌のタイトルを飾った言葉です。
睡眠は脳の真ん中にある松果体という小さな場所が調整していて、そこからメラトニンというホルモンが出ると眠くなります。松果体は環境(明暗)に反応して働くので、暗くなるとメラトニンが増え、明るくなるとメラトニンが減ります。つまり明るい環境では眠りにくくなります。
睡眠が不足すると、先に述べた夜間の成長ホルモンの分泌が減り、成長がゆっくりになったり、日中のステロイドホルモンの分泌が崩れて、糖尿病や高血圧、肥満、免疫能低下の危険性が高くなったり、セロトニンという神経伝達物質が減って、気分が不安定になったりします。
保護者の皆さんも経験があると思いますが、睡眠不足になると、考えるスピードが遅くなったり、いらいらしやすくなったりするのですが、これはお子さんも同じです。
2006年の神山先生らの調査では、睡眠時間が短いお子さんは不安・抑うつ・攻撃的行動・ひきこもりの項目が高点数(つまり不安やうつ状態が出やすく、いらいらしやすい状態)になっています。
また別の調査では3歳まで睡眠時間が短いお子さんは、小学生以降も短く、また成績も低下しているとした報告があります。睡眠は脳が自分自身(脳)を守るための時間であり、特に小さなお子さんにとっては成長・発達にも影響する大切な時間になっているのです。

「早寝・早起き・朝ごはん」・・これは2006年に設立された全国協議会が中心となってお子さんの生活習慣を改善するプロジェクトのスローガンです。
朝日を感じること、朝ごはんを食べ午前中活動すること、夜はなるべく暗くして(テレビや明かりを消して)眠りやすい環境を整えること、を大切にしましょう。この中でも早起きが大切で、7~8時には起きて、昼寝は16時までには切り上げ、21時には眠れるようになると理想的です。

もし、なかなか寝付けない、途中で何度も起きる、朝の目覚めが悪い、といったお悩みがありましたら、かかりつけの先生や保健師さんに相談してみてください。

文/浜松市発達医療総合福祉センター 小児科医 遠藤雄策先生

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