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搾乳について 助産師たちのつぶやき

こんにちは。暑い日が続きますが体調は崩されていませんか。私は、NICUで働く助産師です。今回は、搾乳についてお話したいと思います。
新生児のための集中治療室
当院NICUでは、面会の際、多くのお母さんが搾乳を持ってきてくださいます。搾乳にはお母さんの赤ちゃんに対する愛情がたくさん詰まっています。夜中も3時間、4時間おきに目覚ましをセットして搾ってくださっている方、毎日面会に来て搾乳を届けてくださる方、上の子がいて毎日は面会に来られないけれど来られる日に山ほどの搾乳を持ってきてくださる方、時にはお父さんが代わりに搾乳を運んでくださるなんてことも・・。

面会の際、私たちは、赤ちゃんが一日をどのように過ごしていたかをお伝えします。するとお母さんからは、赤ちゃんに関する質問のほかに、母乳について困っていることや希望などを聞くことがあります。たとえば、「母乳をあげたいけどまだ少ししか搾れません」「搾れる量が減ってきてしまいました」「赤ちゃんがたくさん飲めるようになったから追いつかれちゃいそう」「おっぱいが張って痛いのですがどうしたらいいでしょう」「直接おっぱいを吸ってほしいです」などなど・・。赤ちゃんがおっぱいを吸ってくれるようになるまで母乳の分泌を継続できるように搾乳や母乳に関する悩みは当院の母乳外来の受診をすすめることもあります。

NICUでは、できる限り生まれて間もない早い時期から、赤ちゃんのお口の中への母乳の塗布や注入(鼻や口から胃まで通した細いチューブからの経管栄養)を行っています。赤ちゃんが少し大きくなったら、直接おっぱいを吸ってもらう練習も始めます。

早産で出産したお母さんの母乳には、細胞、免疫グロブリン、抗炎症物質などの免疫物質、抗酸化物質が多く含まれています。つまり、妊娠後期におなかの中でもらいたかったものの多くを母乳から得ることができるのです。さらに、早産で出産したお母さんの母乳に含まれるたんぱく質は、お産後1~2ヶ月にわたって、正期産で出産したお母さんの母乳よりも多く含まれます。また、お産後3~4週までは、早産で出産したお母さんの母乳は、正期産で出産したお母さんの母乳よりも消化しやすくなっているのです。とてもよくできていますね。母乳の量について心配されるお母さんも多いですが、時間をかけて搾ったその一滴一滴は、お腹の中で育んでくれたお母さんの母乳なのですから、赤ちゃんにとっては、何ものにも代えがたい最高の一滴です。

温かい両手でそっと包んであげると赤ちゃんはとても落ち着きます。お母さんに抱っこされると今まで泣いていたのがうそのように穏やかな表情を見せてくれることもあります。

NICUでお預かりしている赤ちゃんには、お母さんにしかできない治療(ケア)があります。搾乳以外にも赤ちゃんにしてあげられることを一緒に考えていきましょう。

文/浜松医療センター 助産師 伊東加織

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