子連れでおでかけ
子育てのヒント
特集記事
子育てのヒントを検索
赤ちゃんのstateについて 助産師たちのつぶやき
日に日に秋も深まり、気持ちのいい秋風が吹き渡るころとなりました。朝晩など寒さがつのって参りましたが、体調などくずされていないでしょうか。
今日は赤ちゃんの表情に着目してお話をしていきたいと思います。突然ですが、みなさんは赤ちゃん(特に生まれて1か月の新生児期)に6つの表情が存在していることをご存じでしょうか。
えっ、赤ちゃんに表情なんてあるの?生まれたばかりの赤ちゃんは泣くか眠るかしかしないのでは?とお思いの方も多いかと思います。 私も学生のころ、実習中に先生からこのことを教わるまでは同じように思っていました。教科書に赤ちゃんのかわいい6つの表情とともに説明がされていたものを発見したときには驚いた記憶があります。
研究の中には、この表情のことを伝えられたお母さんは、赤ちゃんからの合図を読み取ることへの自信が上昇したと明らかになっているものもあります。しかし実際はあまりメジャーではなく、お母さん方にこのことを伝える機会も少ないのが現状です。私ごとですが、このことを不思議に思い、修士論文にまでこのテーマを引きずってしまったものです。
話が少し逸れてしまいました。それでは本題に参りたいと思います。赤ちゃんには、「泣く」「眠る」以外にも、6つの表情があると先ほどお伝えしました。この表情のことを専門的な用語で「state(ステート)」と言います。state1~6で分類をされ、眠りから覚醒、啼泣までを表します。1~6まで簡単にご説明をしたいと思います。
「state1」は「深い睡眠」(静的睡眠)。ぐっすりと寝ている状態のことです。
「state2」は「浅い睡眠」(動的睡眠)。起きるか眠るか迷っているような状態のことで、時に笑ったりぐずり泣きをしたりもします。
「state3」は「まどろみ」。起きている状態よりは、ぼうっとしていて反応が遅いような状態のことです。
「state4」は「覚醒」(静的覚醒)。明るく目覚めた状態で何かを注目して見たりします。ちなみに授乳に適した表情は「state3、4」の「まどろみ~覚醒」の状態であると言われています。
「state5」は「ぐずり」。ぐずって声を出したり活発に表情を変えたりします。空腹や疲れ、不快などに敏感です。
「state6」は「啼泣」。号泣しており、コントロールが難しい状態です。
と、ここまでが各stateの簡単な説明です。たくさん種類があって少し難しくなってしまいました。
この中でも皆さまにぜひ大切にしていただきたいのは「state4」「覚醒」の表情のときです。この状態の赤ちゃんは、周りの情報を取り入れやすいとされています。赤ちゃん自身もご機嫌で、お母さんのお顔をじっと見つめたり、声掛けに対して手足を動かしたりなどかわいい仕草をたくさんしてくれます。親子でコミュニケーションが図りやすいタイミングにもなるかと思います。
現在私は産科病棟のお隣に併設されているNICUで勤務をしています。より赤ちゃんに着目し看護を行うなかで、赤ちゃんの覚醒状態に合わせてケアを行う大切さを多く感じています。また新生児科では、日常的にstateを用います。理学療法士や作業療法士の方が主となり早産で生まれた赤ちゃんに対して発達を促すケアを行う上で活用したりと、赤ちゃんのことを理解する上で私たちも大切にしている指標です。
赤ちゃんとの生活は大変なことも多いかと思います。いわゆる人の顔をみてにっこり笑う「社会的微笑」が見られる時期までは、赤ちゃんの嬉しかったり幸せだったりする表情を実感することは少ないかもしれません。
ぜひとも今日お伝えした赤ちゃんの表情に着目していただき、赤ちゃんとほっこりとできる幸せな時間が増える足掛かりになりましたら幸いです。
文/浜松医療センター 助産師 松元雅美